マーケティングについて〜どうやったら心が動くの?〜
前回の記事で「誰」にコミュニケーションすることが重要という話をしました。
「誰」にコミュニケーションするのかが分かれば、コミュニケーションが上手い人はすでにどういう人にはどういうコミュニケーションをすればよいか見えてきていると思います。そういう方はガンガンコミュニケーションの施策について考えて良いと思います。
ただ、ここでより打率を高めることや、どうすれば人は心理変容・行動変容が起こるのかがイメージを持っていない方に向けてお話をしたいと思います。
どんなとき行動が変わる??
人の心理変容が起こるとき、行動変容が起こるときを知りたい場合、てっとり早いのは自分が他人に作用されて心理変容・行動変容が起こったときを考えることです。できれば行動変容を起こしたいので今回は行動変容を考えます。
ということで、最近起こった行動変容を考えてみましょう。
たとえば僕の場合は
- 上司の指示で報告書を作成した
- スーパーに行ったときに刺し身の値段がタイムセールスで半額だったので買った
- 嫁に言われて醤油を買いに行った
- 仕事のチーム人のための資料を作成した。
- Amazonからオススメ書籍の通知があり、購入した。
などなどです。
これらの、人から作用されて動いた行動変容が、どういった理由からにあることを探ることが人が行動変容を起こす理由になりそうです。
下に行く前に自分の行動も踏まえ考えてみましょう。
行動変容が起こる理由??
結論から言うと行動変容が起こる理由のカテゴリは下記のようになると思っています。
・強制
・取引
・共感
これらについて下記の通り説明します。
強制とはジャイアン??
こちらより転載
強制とは人からそれをしなさいという強要、命令などからによるものになります。分かりやすいのはジャイアンがのび太に命令するなどがありますね。これはのび太にどのような力が作用しているかというと、のび太は逆らった場合は殴られるなどの暴力的制裁を受けることになります。そのため、のび太はジャイアンの暴力という力により従うことになります。
分かり易いのは暴力ですが、他に強制力を持っている例としては上司という立場の構造を活かした命令などもあります。これは権力という力を持って従わせるというものですが、一見暴力と違いますが自分の意思は関係ないという背景を考えると「強制」という力を持つものになります。
僕の例で言う1,3などは強制力により行動変容が起こったと言えるかもしれません。
取引とはスネ夫??
こちらより転載
続いて取引ですが、これはスネ夫を思い浮かべてもらえればと思います。
スネ夫はジャイアンのような暴力は持っていないですが、自分が持っているラジコンなどをジャイアンに渡すことによりジャイアンを動かすことができます。
このように相手の利害に訴える形で行動を促すことを取引という形で考えます。僕の例で言うと2などは値引きという利点を訴えられたことで僕の行動が変わったと言えそうです。そもそものお話で言うと僕らが会社に雇われているということも会社から賃金という利点を提供してもらい、労働を提供するという形で取引という形態を取っている代表例と言えそうです。
共感はのび太??
最後に共感ですがこれはのび太が人を動かすシーンを思い浮かべればと思います。
のび太は基本的に暴力もなく、権力もなくまた取引ができるほどのお金、知恵もないため、あまり人を動かすことができません。ですが、のび太が一所懸命動いたとき、根性を見せたとき、それがジャイアンやスネ夫の琴線に触れ、二人を動かすことに繋がります。これが共感です。ここで考えないといけないのはジャイアン、スネ夫が何に共感したのか?
このシーンではのび太が普段見せない根性を見せ、それを見たジャイアンの「友達の大事なものを守りたい」という気持ちと共感し、ジャイアンの行動につながっているのだと考えます。このように人の行動、街角の広告などに共感して行動につながるようなものを共感と呼びます。
どの力を使うべき?
この問に対しては人を動かす、購入に結びつけるためにはどれも使うべきです。
例えば強制を使うなら、「年末までに予算消化しないと!」という人に対して「まだ間に合います」と働きかける、取引を使うなら「今なら◯◯%OFF」といつもより利点を見せるやり方がありますが、一番意識したいのは「共感」です。お客様を獲得する活動の中では強制は使いづらく、また取引に関してはえてして値引き合戦になる可能性があります。その点を踏まえるとお客様の共感に訴え、お客様を獲得することの価値は大きいです。ぜひともお客様の共感に訴え、行動変容を促すことを考えましょう。
では、マーケティングで重要なのは??
ここまでお話したことで、行動変容を促すために重要なこととして「共感」がありますが、では共感を促すために重要なことを考えましょう。
共感というのは字の通り自分の価値観と他人の価値観が揃ったときに生まれます。
これをマーケティング活動に置き換えると、お客様の価値観と自社の価値観が揃ったときに購買行動が生まれると考えられます。つまり、お客様の価値観の延長線上に自社のサービス・商品があることを見せることが必要で、そのことをマーケティング・コミュニケーションと呼べそうです。
流れは下記のようになります。
・お客様像を明確にする
・想定されるお客様の価値観を考える
・お客様の価値観と自社のサービスの共感を生む点を考える
・上記踏まえお客様に対してコミュニケーションを実施する
重要なのは価値観です。
豆腐で例えると、お客様が家族の健康を大事にするのか、家族と旅行をするために家計を大事にするのか、日本の伝統的な食事を大事にするのかによって豆腐の見せ方は変わります。健康を大事にするなら、「健康に良い豆腐」、家計を大事にするなら「家計に優しい豆腐」など見せ方が変わります。
このようにどうやったら人の心が動くかを考えるためにはお客様像を明確にすること、そのお客様像の価値観を考えることが重要になります。
ぜひ、自分のお客様の価値観を考えてみてください。
マーケティングについて〜誰に売るの?〜
前回の記事にて何かを売るまでの心理変容とコミュニケーションの流れについてお話しました。ただ、お伝えした内容ではコミュニケーションとしては片手落ちです。
というのは、「誰」にコミュニケーションするのかが決まっていないからです。
マーケティングにおいては誰ににコミュニケーションをするのかを考えることが最重要だと僕は考えています。イメージしてほしいのですが、前回の豆腐を売るケースでも誰に売るのかでコミュニケーションのイメージは変わってくるかと思います。
健康志向が高くオーガニック食品しか買わない女性、一人暮らしを始めたばかりの若い人、子供が5人いる大家族の主婦など、誰に売るかによってコミュニケーションの仕方は変わるのは明らかです。オーガニック食品しか買わない人には添加物を使っていない豆腐を健康に良いという切り口で伝えるべきであり、一人暮らしを始めたばかりの人には自炊に豆腐がどれだけ役に立つか、簡単に作れるかをレシピなどと一緒に伝えたほうが良いかもしれませんし、大家族の方には値段の安さをアピールするべきです。
このように、コミュニケーションを考えるには「誰」を対象にするかを決めることが重要です。これができずには中身のないコミュニケーションになってしまいます。
誰かを考えてコミュニケーションの流れを考える
あらためて、今回は仮に「一人暮らしを始めたばかりの人」にコミュニケーションをすることを考えましょう。そこで一人暮らしを始めたばかりの人を明確にイメージできるよう、仮にプロフィールを考えます。
この方に売ることを考えてみましょう。
前回、コミュニケーションを考えるときと比べてかなり臨場感を持って考えられるのではないでしょうか。重要な点は対象の価値観、関心事を意識することです。商材によってはコンプレックスなどは大きな関心ごとなので、そこを軸にコミュニケーションを考えます。今回のおかめさんは関心事はお金ですね。生活費の節約です。そのため、価格訴求がコミュニケーションの軸となります。
次に行動を促すに当たっての障壁を考えてみましょう。価格訴求でおかめさんに買ってもらおうと思ったときに、購入の妨げになってしまうものです。おかめさんは一人暮らしをしたばかりですし、彼氏もおらず実家でも料理をしていなかったため、料理をする機会は限られていたと思われます。そのため、「豆腐は安いけど、どう料理すればいいか。。。」となってしまうかもしれません。その点を考慮してコミュニケーションを考えましょう。
改めてコミュニケーションの流れを考える
改めてコミュニケーションの流れは下記のようにしてみてはいかがでしょうか。
おかめさんは自炊が節約できることは意識しつつも外食などで済ませることも考えているかと思います。そのため、まずは「外食費を節約」という切り口で自炊に頭を向けさせ来店を促します。
一方自炊しようかと思ったものの実際に食品を見て何を買って何を作ればいいのか分からないという事実に直面します。そこにレシピを書いた冊子、紙などを渡し、障壁を取り除きます。
最後に何を作るのか具体的に考え始めたおかめさんには「豆腐料理を覚えるとこれから便利」という点を伝え豆腐を買いたいという気持ちに促します。
どうでしょうか。前回と違いコミュニケーションの内容に深み、意図が生まれてきたかと思います。このように、誰にコミュニケーションをするかにより大きく変わることがイメージできるかと思います。
で、どういう人を対象に考えましょう?
コミュニケーションの対象を考える重要性は分かったかと思います。
ではどのような人に注力したらいいのか、という話になるかと思います。答えは簡単で基本的に数と質です。つまり「買ってくれそうか?」、「同じような人がたくさんいるのか?」ということです。今回のお話で言うと新卒は毎年生まれますしそこで一人暮らしをして、自炊に困っている人は一定数います。その人達に買ってもらうことはそこまで難しくもなさそうです。一方オーガニックに興味がある人はそれよりは少ないのであまり注力しなくてもいいかもしれません。
「それは分かった!では、どうやったら数と質が多い人を考えつくのか!?」という疑問になりますよね??その回答としては「やり方は簡単ですが、精度は難しい」ということになります。
やり方は今回のお話を実行するだけです。
数に関しては豆腐を買ってくれそうな人はどんな人がいるのかを考えて、その人がどのくらいいるかをイメージする、ということになります。質に関しては、買ってくれそうな人へのコミュニケーションの流れを考えれば購入の難易度はイメージできます。
この「イメージをする」ということが非常に重要でどういう人が最近多いのか、その人がどういうことを考えているのかは実際にスーパーに言って見てみること、ニュースなどを見る、雑誌などを読むなどをして考えていきます。また場合によっては人口統計、Webなどに出ているアンケート結果を見るなどをするとヒントになります。
マーケティングの必須スキル
前回、今回お話した内容は流れを押さえれば誰でもできます。ただ、数と質も踏まえて考えるということは基本的にマーケターでないと高い精度でできないことです。
そのため、マーケターとしては「誰にコミュニケーションを取るか」ということを考える。それを妥当かを示す思考のプロセス、材料を持っているということが必要だと言えます。この作業が「ターゲティング」です。マーケティングをしていく上でターゲティングという言葉はよく出ます。でも横文字系の言葉はなんとなく使っている人が多く、言葉の重みがないように思います。ここまで「コミュニケーションを取る対象」の重要性を認識した上でターゲティングという言葉を使えると言葉の範囲、意味合いが理解できるかと思っています。
本ブログではあまりカタカナ文字は使いません。僕の経験上ですが、カタカナ語は危険です。情報のやりとり、共通認識を持つために便利なツールは明らかに日本語です。それを差し置いてカタカナ語を使うことは誤認を招く一番の原因になります。そのため、マーケティング用語などについてはぜひ注意してみてください。
マーケティングについて〜売れるまでを考える〜
前回の記事では行動変容を起こすには心理変容を促すといいう話をしました。
今回、お客様にものを売るまでを深掘りするのですが、前回のお話から、前提条件として「心理変容≒行動変容」と考えます。行動の裏にはその行動を裏付ける気持ちがある、ということです。
それを踏まえ、購買行動を考えてみましょう。
まずは行動分析
前回の記事と同様にある人が豆腐を買う、という行動を考えます。
これを心理と結びつけると「豆腐がほしい」「豆腐を買う」と心の中で決めたときに購買という行動に結びつきます。ただ、これだけだとざっくりすぎます。この前にどのような行動があるのかを考えてみましょう。仮におかめさんが町の商店街にあるスーパーで豆腐を売っていると考えます。
このおかめさんがスーパーに行くきっかけから購入までの流れを考えてみます。ここはマーケティングのテクニックというよりは単純に想像を張り巡らせましょう。
1.まず商店街にあるお店なのでおかめさんは商店街を歩いています。
2.店の前を通り店を見ます。
3.店の中に入ります。
4.店の中の豆腐が置いてある棚の前を通ります。
5.豆腐を取り、レジに向かいます。
6.豆腐を購入します。
どこまで細かくするかは、そのときどきによって変えますが、今回はこのくらいの粒度で考えましょう。場面場面を分けると下記のような図になるかと思います(この場面1つ1つを「フェーズ」と呼びます)。今まで購入のタイミングは「豆腐ほしい」としていましたが、レジという部分と購入完了した場面を分けるとしたら「豆腐ほしい」という状況はレジに向かっている段階になると思います。
では上記のステップにおいてどのような感情・気持ちを持っているのかを考える必要があります。まずは下に行く前に想像してみてください。
行動に合わせた心理を考えよう。
今回の豆腐の購買プロセスに心理状態を入れるとしたら下記のようになるかと思います。
・商店街:何を買うかは決めていないが商店街にいるので買い物を検討している。
・店の前:スーパーを見て食品購入を検討している。
・来店:食品購入を決めた(本当は化粧品とかもあるけど今回は簡略化)
・棚の前:豆腐が目に入り、豆腐購入を検討
・レジ:豆腐を手に取る(豆腐購入を決定)
・購入:購入完了し、料理のことなど次のことを考えている。
ざっくりこのような流れになるかと思います。ざっくりしているのには理由はありますがまた別途。
コミュニケーション設計
ここまで考えられれば、次はコミュニケーションの検討となります。前回の記事で伝えたようにコミュニケーションは行動を促すために使うので、その地点のフェーズには次のフェーズに進めるためにどんなコミュニケーションが必要なのかを考えます。
なんとなくイメージもわくのではないでしょうか。
<商店街→来店>
ここではスーパーに興味を持ってもらう意識づくりが必要になります。そのため、今回は新鮮な野菜をスーパーの店頭に出し目に止めてもらうことを考えます。ここで重要なのは豆腐に限らなくてもいいというところです。まずは来店をしてもらうという観点でコミュニケーションを考えましょう。
<来店→棚の前>
棚の前に来てもらうのはお豆腐のあるカテゴリに興味を持ってもらう必要があります。今回は豆腐、しらたきなど鍋に必須な食材のエリアに来てもらうために「冬のお鍋フェア」と注意を促し棚へ足を進めてもらえるよう促しています。
<店の前→レジ>
ここまで来ると豆腐を買う気持ちはある程度ありそうですが、そこで「やっぱりやめた」とならないように「割引」で最後の後押しをしています。最後を割引にするのはコミュニケーション的にあまり芸がないですが、割引はかなり訴求が強いので今回はそれで。
<レジ→購入>
商品を手に持ってレジまで進んでいるのであればもう買うだろう、ということでここではコミュニケーションはしません。
これで今回のコミュニケーションの全体像が見えてきました・
まとめ
このようにいったんお客さんの行動・心理状態に合わせてコミュニケーションを考えてみました。これで前回からの話しを含めて考えるとお客さんにどこでどういうコミュニケーションを取ればいいのかイメージが湧いてくるかと思います。
また、これらを見てみると普段何気なくスーパーで見るPOPや陳列なども、深いお客さんの行動分析とコミュニケーションの連続になっていることに気づけるかと思います。
今回のコミュニケーション設計の要点をまとめると、
・購買までの行動を細分化する
・各行動の裏側にある心理状態を考える
・各フェーズから次のフェーズに進めるためのコミュニケーションを検討する
という流れになります。
それぞれのフェーズの細分化、心理状態などは基本的には自分の今までの経験を元に考えていくのが基本です。ぜひ、普段の自分の何かの購買行動などに照らし合わせて考えてみましょう!今回のように購買までの流れを検討・設計することができればコミュニケーション設計に関しては問題ありません。
って、んなわきゃない!
はい、今回の設計は手落ちがあります。今回のコミュニケーション設計でなんとなくお客さんにどのようなコミュニケーションをすべきかが見えて全体設計ができたような気がするのですが、根本的な手落ち、意図的に省いた流れがあり、これだとコミュニケーションの効果を大きくすることは難しいです。行動の分解→コミュニケーションの検討という流れは良いのですが。。。
なんで難しいのかは次回説明したいと思います。
マーケティングについて〜「売る」とは〜
前回の記事でマーケティングの定義についてお話をさせていただき、本ブログでは汎用性もある「売ることの仕組み化」という定義で進める話をしました。
そこで今回の記事ではその中の「売る」ということからマーケティングの考え方についてお話させていただこうと思っていますが、その前にちょっとお話することがあります。
一般的に「教科書的な」マーケティングの説明をする場合、STPや4Pなど、市場についてや、いわゆるマーケティング戦略的な見地から説明することが多くあります。おそらく多くの大学もそうだと思います。ですが本ブログでは「初心者向け」という観点と「業務で使う」という観点からそれらの説明は後回しにします。なぜそういう流れにするかの詳細は今後書きますが、僕は初心者にとって市場・戦略から入るのは分かりづらいと思っていますし、「いやいや、そっちからのほうが分かりやすい」という人は本ブログでなくドラッカーとかコトラーなどから勉強を始めることをおすすめします。
と、前置きが長くなりましたが今回の説明に移ります。
まずは「売る」ことを考えましょう。
ある人(ひょっとこ)がある人(おかめ)に豆腐を売りたいと考えているとしましょう。
※豆腐に深い意味はありません。僕が好きなだけです。登場人物にも深い意味はありません。
そこで豆腐が売れるためにはどうすればいいか考えてみましょう。
やるべきことは簡単ですよね。
「声をかける」それだけです。これが一番手っ取り早いですよね。
ただ、ここでもう少し他の方法も考えてみましょう。もしかしたらひょっとこが声かけなくても立て看板に「豆腐が安い」と書いておけば店に来て売れるかもしれません。音声を流してもいいかもしれませんし、なんなら自動販売機が置いてあれば買うかもしれません。このようにどれが最善化はさておき、お客さんに何もアプローチしなければ売れませんが何らかのアプローチをしていれば売れる可能性は発生します。いったんこのように客に売れるためのアプローチをすることを「コミュニケーション」と呼びます。
つまり「売る」=「購入していただく」ためにはお客さんになり得る方に「コミュニケーション」を行うことが必要ということが分かります。
そのため、「コミュニケーションすれば売れるんだ!!」と考えるかと思うのですが、もう少し深掘りしてみましょう。
購買するのは人間です
先述した内容では「コミュニケーションをすれば売れる可能性は生まれる」と言いました。でも、「可能性」という話であればどうすれば可能性が上がるか、ということを思い浮かべるかと思います。
ここで考えるべきはお客様は人間という点であり、人間が何か行動を起こす際の裏側を考える必要があります。つまり、ひょっとこが「奥さん!豆腐買わない?」と言ったときにおかめが購買という行動を取った理由は下記の通りです。
つまり、「豆腐がほしい」と思わせた(心理変容)ことが購買を起こした(行動変容)につながっていると考えます。
おかめの行動をまとめると下記です。仮にコミュニケーションを取る前、今晩の夕食について考えていたとします。
つまり、接触前のお客様に心理変容を起こし行動に促すということが「売る」ためには必要ということがわかります。ここから、売るためにはその人にどんなコミュニケーションをすれば心理変容が起こるかを考えることが重要ということは分かると思います。更に、コミュニケーションをするためにはその人がどんな人かを深く考える必要があることも分かると思います。
人の考えていることに関心を持つ
その点、例えば優秀なアパレルの店員は1日の中でも何十回ものトライ&エラーを繰り返してお客様がどんな人か、どんなコミュニケーションをすべきかを考えています。着ている服からどんな服が好みか?今の季節は?今の流行は?よく来る人か?今は給料日付近か?など。
残念ながらマーケティング担当はそこまで実際にお客様の声を聞いてトライ&エラーを繰り返すことはできません。その点はニュースから、記事から、SNSから、などから情報を得ることや、そもそもお客様の心ってどうなっているかを考えることが重要です。
例えば心理変容という言葉が出て来るあたりで心理学とか関わってくるの??って思うかもしれません。はい、関わります。また、購買行動という経済活動にも結びつくので経済学も関わります。さらに言うと2017年にノーベル賞を取った「行動経済学」などは近年注目を浴びているの消費者の心理・行動の学問となります。人の心理に興味があるのであればこのような学問からマーケティングを考えることも良い方法だと思います。
まとめますと、
・購買行動に移すためにはコミュニケーションを実施する
・コミュニケーションが心理変容をおこし行動変容につながる
・コミュニケーションの質を上げるには人を知ること
・人を知るには人についての情報を集める、人の心理・行動メカニズムを考える
といったところでしょうか。
次は人の心理変容・行動変容についてもう少しお話します。
マーケティングってなんでしょね?
さて、そろそろ「マーケティング」って何ってことについて話していきます。
前回お話したようにマーケティングをこれから知っていくという段階ではそもそもマーケティングって何なの?ってことをイメージできないと言われた業務をやるだけ、ということになりかねません。
そのため、まずはマーケティングって何か?についてお話できればと思います。
マーケティングどんなイメージ?
まずはざっくり、マーケティングって何なのか考えてみてください?
「広告とかやってる華やかなイメージ」「市場調査とかやってる部署」「Webサイトとか作ってる人」などなど様々なイメージがあると思います。また、マーケター同士で話してても「コミュニケーションを作る人」「市場を作る活動」「仕組み化」「市場分析」など様々な文言が出てきます。
これらはどれもある意味正しいです。今でも市場調査などをする部署をマーケティング部門と呼んでる企業はありますし、個人の考え方としてもマーケティングを行ってきた経験で重要だと思う点を言うことに何ら問題はありません。
ですが問題が発生しないのは「マーケティングをある程度経験した人同士であれば」お互いのマーケティングの定義が違っても会話が成り立つという意味で、マーケティングを始めたばかりの人は「市場調査」と「コミュニケーション」を同じマーケティングを表す言葉だと理解がしづらいかと思います。
そのため、マーケティングっていう環境で生きていくためには、「マーケティングって何か?」という問に対する自分なりのマーケティングのイメージを持てることが重要になります。
んじゃマーケティングって何よ!?
はい、色々話しましたが、「自分なりのマーケティングのイメージなんて簡単に持てねーよ!?」って気持ちを持ったと思います。そこは業務をこなしながら身につけていくことになりますが、スタートとして手っ取り早いのは巨人の肩に乗ることです。つまりは昔の偉人の説に乗っかることが手っ取り早く良い(であろう)視点を持つことができます。そこでいくつかのマーケティングの偉人のマーケティングの定義をご紹介します。
まず、経営の神様ピーター・ドラッカーは下記の通り言っています。
マーケティングの究極の目標は、セリング(売り込み)を不要にすることだ
ドラッカーの言葉はとても深く、ある意味混同されそうなセールスとの区分けがうまくされていると思います。「売り込み」をしないということはお客さんが自ら欲しがるようなコミュニケーションをし、またお客さんが自ら買うことができるという購買の仕組みまでこの言葉は言及しています。さらには製品設計までも含めた言葉と捉えられます。
STPや4Pなどマーケティングの考え方を開発したフィリップ・コトラーは下記の通りです。
マーケティングとは、個人や集団が、製品および価値の創造と交換を通じて、そのニーズやウォンツを満たす社会的・管理的プロセスである。
ちょっと難しい言い回しですね。ですが製品だけでなく「価値の創造」、ニーズやウォンツという言葉を見ると人は商品を買いたいというよりは、何らかの欲求があり、その欲求を満たす価値を提供するという形で抽象度が高い話になっています。また、その活動の「プロセス」と言っているようにSTPなどのフレームワークを開発したコトラーならではの言葉となっています。
こちらもマーケティングの第一人者セオドア・レビットの言葉では
マーケティングとは、顧客の創造である
これも僕は好きな言葉です。
またこの方は「企業の最も重要な資産は顧客情報である」とも言っており、顧客の情報を元にしたCRM、つまり顧客とどうコミュニケーションを取っていくかという点を突き詰めた方でもあります。一般的に新規顧客に購買をしてもらうのは既存顧客に購買してもらうことの5倍がかかるとも言われておりますが、そのように顧客をどう増やすか、管理するか、という点を深く掘り下げています。
さらにWikipedia先生によると
マーケティング(英: marketing)とは、企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。また顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。
とあります。
ごめんなさいこれは面倒なので解説はパスします。長い!
とはいえ、これらの言葉はおそらくマーケティングとは何か?と考える上でのヒントになると思います。とはいえただ拝借するのでなく、その方の言葉の裏にどのような意図があるのかはしっかり考えなくてはいけません。
個人的なおすすめ
で、個人的にオススメなマーケティングの定義は下記です。
売れることの仕組みづくり
個人的にはこれはかなり汎用性が高く、現代のデジタルマーケティングが注目を集めている状況をうまく表現できている言葉かと思っています。※すんません、誰が言った言葉かは忘れたので思い出したら記載します。
理由としては最終目的の「売る」ということが明確に表現されていること。また、「仕組み化」という点で営業活動と違い大多数へ、省力化して、顧客が簡単に変える仕組みを構築するということを表現できていると思うからです。Webマーケティングではリスティング広告などのように興味を持っている潜在顧客にアプローチできる仕組みができており、Amazonを筆頭に欲しいものがすぐ買える仕組みがあるなどこれからのマーケティングには「仕組み化」は外せない要件になります。
そこからドラッカーの言葉に振り返るとWebマーケティングが始まってもいない時代に、明らかに「仕組み」の重要性について説いており、本当にすごい言葉だと思います。
それでは「売れる仕組みづくり」ということを軸に置き、今後マーケティングについて説明していきます。
マーケティング初心者が苦労する理由
マーケティングについてお話する前に、マーケティング初心者が苦労する点をお話しようと思います。
と、いうのは僕は新卒で広告代理店に入社したのですが、そこが基本的には新卒を採用していない会社でして、業務を行っていく上で「難しいなぁ」「しんどいなぁ」と思うケースがちょいちょいありました。そのため、初心者の方がそういったケースを回避できるように僕が経験したこと、どうすれば良いのかを書いてみます。
しんどい理由1:人によってマーケティングの考え方が違う
前述したように僕が新卒で入った会社は中途入社が基本でした。そのため、バックグラウンドがほぼ違う状況です。前職も代理店、新聞などの媒体社からきた方、調査会社、事業会社でマーケティングをやっていた方、制作会社、PR会社などなど。
これって何が言いたいかって、こんなにいろいろな背景の人が同じ会社にいるっていうことはマーケティング業務の範囲が多岐に渡るということになります。
そのため、業務で相談があったとき先輩ごとに違うことを言うのがザラにあり、まずはここでどの話を信じればいいのか悩みます。
しんどい理由2:身につけないといけない知識、スキルが多い
理由1に書いたようにマーケティングの業務は多岐に渡ります。そのため覚えないといけない知識量が膨大にあり、また代理店の場合はクライアントのビジネス理解も必要になるため、てんてこまいな状態になります。
特に文系人間が数字を扱わないといけない、理系人間がクリエイティブを扱わないといけない、という点は難しいと思われてしまう点かと思います。実はサイエンスとアートの両立ができる点は魅力なんですけどね。
しんどい理由3:専門用語が多い
これは本当に多いです。特に横文字!例えば「最近CPAが好調でリード獲得状況は良い状況。ADでうまいことパーセプションチェンジを促せてたと思う。ただ、SALはまだ課題があるからナーチャリングをもっと強化しないと。」
僕はあんま横文字使わないようにしているので若干無理のある文言でしたが、こんな会話が多くあります。マーケティング初心者からすると話についていけないどころか、何言っているかすら分かりません。
他部門連携が難しいなど他にもありますが、まずはマーケティング自体のところで挙げてみました。
対処法なのですが、理由1に関してはマーケティングの全体像を描くことが重要です。この全体像を描くという点は追って記事にします。
理由2ですが細かくは記事にしますが個人的には全体像を知った上で「世の中の流行」「現在の業務で求められる範囲」「自分の興味関心」をまずは整理してから取り組むことがオススメです。
理由3は一番簡単です。気にしないことです。横文字使いは認識の齟齬を生みやすいためチームのコミュニケーションに注意する人は注意して使います。そのため横文字ばかり使う人は「頭悪そう」と思っておけばいいです。頻出し重要な単語はいろんな人が使うので自然と覚えます。
本記事にてお伝えしたようにマーケティングは学ぶときに難しい点が色々あります。これらのに配慮してこれからの記事を書いていきますね。